HOME > 季刊誌&健康チェック > 小児アレルギー専門外来 小椋 香苗 医師

京都八幡病院で「小児アレルギー専門外来」始動。
適切なコントロールで、症状のない暮らしもOK。

アトピー性皮膚炎、気管支喘息、アレルギー性鼻炎など、アレルギー疾患は増加の一途をたどっています。しかしここ数年、コントロール方法が飛躍的に進歩し、思春期までに「上手な付き合い方」を見つければ、症状のない生活も夢ではないとか。 3月にスタートした「小児アレルギー専門外来」の小椋香苗医師にうかがいます。

アレルギーは不都合な免疫反応

 人体には外から入ってきた異物(細菌やウイルスなど)に対して抗体を作り次に異物が入ると排除して病気にならないようにする、人体にとって有益な「免疫」というしくみがあります。一方、アレルギーは人体に入った異物(抗原=アレルゲン)に対して同じように免疫反応が起こるのですが、次に異物が入った時に「かゆみの強い湿疹」、「咳込みやゼーゼーといった呼吸困難」、「くしゃみ・鼻水・鼻づまり」などの人体にとって「ありがたくない症状」が出てしまいます。アレルギーによる反応(アレルギー炎症)が皮膚に出るとアトピー性皮膚炎、気道で起こると気管支喘息、鼻粘膜に出るとアレルギー性鼻炎になります。 アレルギー反応を起こしやすい体質をアトピー体質と呼び、遺伝や体質だけではなく生活環境など様々な要因が関与するため、生活環境整備(効果的な掃除=ダニ除去など)が必要となります。 

専門外来で早期の検査と治療を

 小児のアレルギー疾患は、成長とともに行進曲のように次から次に症状が出る場合が多く、この現象を「アレルギー・マーチ」と呼びます。一つのアレルギー疾患になったら早期に対策を立てて、このマーチの進行を防ぐことが必要です。そんな状況を踏まえ今年3月、当院では「小児アレルギー専門外来」(要予約)をスタートしました。八幡市では初めて、必要な食物の除去や解除とその程度を判断するための「食物負荷試験」が、外来でおこなえる施設として認定を受け、毎月曜日の午前9時より、皮膚試験(プリック試験)は毎月曜午後2時〜4時、第1と第3水曜午後2時〜4時に、除去食指導も随時当院管理栄養士の先生とタイアップして実施しています。今後は八幡地域でアレルギー疾患の“駆け込み寺”となるよう、じっくり取り組みます。

長期のコントロールがポイント

 私がアレルギー専門医になったのは20数年前で、ちょうど小児のアレルギー疾患が増え始めた頃です。当時地元のテレビ局の健康教室で「子どものアレルギー」のお話をしましたら、翌日から小児科外来は2百人もの患者さん、「学齢期シンドローム・アレルギーの増加」について学会で発表すると、NHKで取り上げられ、四百人もの患者さんでいっぱいに。問題の重大性に驚いて、地元の小・中学校で児童生徒のアレルギーに関する調査をしました。当時は「お子さんは卵アレルギーです」と言っただけで泣き出すお母さんがいらっしゃいましたが、現在は「○○ちゃんと一緒やわ」と明るく答えるお母さんが増えました。小児のアレルギー疾患は思春期までに症状をコントロールすることが重要です。ここ数年でアレルギー治療は飛躍的に進歩し、気管支喘息治療では、吸入ステロイド薬液剤(パルミコート吸入液)や抗ロイコトリエン薬粉剤などの登場で、小さなお子さんの長期管理も可能となり、症状のないときも治療を続けてコントロールすると、多くの方が思春期までに症状が出なくなっています。 

長期のコントロールがポイント

 アトピー性皮膚炎の治療においても、保湿剤や症状に応じた強さのステロイド軟膏などを、副作用が出ないようにうまく使って、皮膚を常によい状態に保つことが大切です。これらの長期間の治療では、「治ろうとする意欲を持って積極的に治療に取り組む姿勢=アドヒアランス」が大切です。お母さん、治療を続けるお子さんを見守り、助け、「よくがんばったね」とほめてあげてください。だからこそ私は「お母さんは担当医です」といつも言っています。思春期までにアレルギーと正面から向き合うことは、その後の長い人生を自ら切り開く自立心や無限の可能性を育てることにもなるのです。私も力になりますので、治癒を目指して一緒に頑張りましょう。

京都八幡病院 小児科部長 小椋 香苗 医師

日本小児科学会専門医・日本アレルギー学会専門医・日本医師会認定産業医
日本小児科医会認定“子どものこころ相談医”

小椋 香苗 医師
昭和53年 3月 京都府立医科大学医学部卒業
昭和53年 5月 京都府立医科大学付属病院小児科 研修医
昭和55年 4月 国立舞鶴病院小児科
昭和56年 4月 京都府立医科大学付属病院小児科 修練医
昭和59年 5月 岸和田市民病院小児科 医長
平成 6年 5月 大阪回生病院小児科 医長
平成18年 1月 市立池田病院小児科(同年4月より小児科副部長)
平成20年 4月 京都八幡病院小児科
平成20年 8月〜 日本アレルギー学会準教育施設指導担当医
平成20年 9月〜 食物アレルギー負荷試験実施担当医